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2009年8月 4日 (火)

賃貸住宅の敷金・礼金・敷引・更新料

先日、賃貸住宅の更新料を無効として返還請求を認める京都地裁の判決がありました。

貸主にとっては、無効とされる可能性がある敷引金や更新料を廃止するとともに、敷引金相当額や更新料相当額(不当な負担ではない額)を月々の家賃に上乗せするという対処方法が、敷引金返還請求訴訟・更新料返還請求訴訟のリスクを回避するという意味ではよいようにも思われます。
例えば、家賃12万円・敷金24万円・敷引50%(12万円)の2年契約で更新料が家賃1月分であれば、敷引・更新料を廃止して月々の家賃を14万円(リスクを考えて値上げ)とする等です。

しかし、全ての貸主がこのような変更を一斉に行うとは考えにくいため、相場と比較して自分の所だけ家賃が高くなる、更新料がないので中途解約が増える、といったリスクが生じてしまうことにもなりかねません。ただし、借主としては中途解約がしやすくなることで、いい物件であれば逆に新規借主がつきやすくなるとも言えるかもしれません。
また、貸主ごとに、これらのお金を家賃の前払い的性質のものとしてどこまで事業計画に組み込んでいたかは異なると思われますし、貸主が不動産業者に支払う手数料等の原資をどうするかという問題もあります。

東京周辺の首都圏・関東地方では、敷引に類似すると言われる「礼金」の支払いも多く行われています。
反対に、投資物件等で敷金や礼金を低額またはゼロとしてフリーレント期間を付ける物件があったり、手数料を割り引くなどしている不動産業者もあります。

今回の判決が出たからといって、全ての更新料・敷引・礼金が無効であって返還請求が必ず認められるというわけではありません。未だ、判断が分かれているところなのです。

今までは曖昧な基準のまま慣習で成り立ってきた部分も大きいと思われるのですが、今後は、統一的な取扱いをして新たなトラブルを防止するためにも、政治的・立法的な面も含めて解決・明確化が望まれるところです。

当事務所でも、貸主様・借主様双方からの家賃や敷金に関するご相談が増加傾向にあり、今後も敷金等関係の動向には注目していきたいと思っています。

事件番号 平成20(ワ)3224
事件名 敷金返還請求事件
裁判年月日 平成21年07月23日
裁判所名・部 京都地方裁判所      第6民事部 

居住用建物の賃貸借契約における保証金の解約引き特約及び更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37862&hanreiKbn=03

前原事務所 | 東京都中野区中野の司法書士・行政書士
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