「相続させる」遺言と代襲相続 平成23年2月22日最高裁判決
平成23年2月22日 最高裁判所第三小法廷 判決で、相続させる遺言について代襲を否定する判断がなされました。
しかし、この判決は、相続させる遺言について全て画一的に代襲を否定したわけではなく、判決中では「遺言者が代襲者等に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り」効力を生じないとされています。つまり、今回の事案では「特段の事情があるとはいえず」代襲が否定されたということです。
別事案の東京高裁の平成18年6月29日判決では、今回の判決と反対に相続させる遺言について代襲が肯定されていました。しかし、この東京高裁判決も、今回の最高裁判決と同様の判断基準であって、遺言者が代襲相続させる意思を有していたとみるべき特段の事情があったから、それをもとに代襲を肯定した判決だと言えるかもしれません。
そうなると、「特段の事情」についての解釈の問題・争いは残るかとも思われますが、今回の最高裁判決により、相続させる遺言について代襲は原則否定ということで、ひとまず決着がついたと判断できそうです。
遺言書作成の際には、トラブル防止のため、代襲させる意思や範囲の確認と遺言書への明記についてご留意ください。(今までどおり、明記しておけば問題ありません。)場合によっては書き換えもご検討ください。
相続人が先に死亡なら、遺言は無効…最高裁判決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110222-00000500-yom-soci
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110222-OYT1T00500.htm
平成21(受)1260
土地建物共有持分権確認請求事件
平成23年02月22日 最高裁判所第三小法廷 判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110222120159.pdf
前原事務所 | 東京都中野区中野の司法書士・土地家屋調査士・行政書士
前原司法書士事務所 前原行政書士事務所
相続手続ドットコム 債務過払いドットコム
| 固定リンク
« 土地家屋調査士の仕事って?土曜ワイド劇場で女優の黒木瞳さんが土地家屋調査士役 | トップページ | 平成23年ねじれ国会と登録免許税・司法書士~平成23年度税制改正大綱と所得税法等の一部を改正する法律 »
「2.相続・遺言・贈与」カテゴリの記事
- 無料相続等相談会のお知らせ(2017.08.22)
- 法定相続情報証明制度が5月下旬から実施(2017.03.30)
- 平成28年第1回 相続・遺言休日無料相談会(2016.01.13)
- 相続・贈与と遺言書の講習会(2015.11.16)
- 相続放棄の際の注意点②~貸金業者からの借入(2015.11.04)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント