平成23年ねじれ国会と登録免許税・司法書士~平成23年度税制改正大綱と所得税法等の一部を改正する法律
平成21年3月27日に成立した現行の「所得税法等の一部を改正する法律」では,以下の登録免許税額の軽減措置等は,平成23年3月31日までとされています。
平成23年度税制改正大綱に沿った、新しい「所得税法等の一部を改正する法律」案は国会に提出されていますが、現状ではこの改正案が成立せず廃案となる可能性があります。
仮に、改正案が成立せず、法案の分割や代替案もない場合は、平成23年4月1日からは、軽減措置等がなくなってしまいます。
この場合は、現在と比較して、以下のとおり税率・税額が変更となります。
●住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(住宅用家屋証明による減税)
平成23年3月31日まで 所有権保存 0.15% 所有権移転0.3% 抵当権設定 0.1%
平成23年4月 1日から 所有権保存 0.4% 所有権移転2% 抵当権設定 0.4%
●電子情報処理組織による登記の申請の場合の登録免許税額の特別控除制度(オンライン申請による減税)
平成23年3月31日まで 最大5000円減税
平成23年4月 1日から 減税なし
また、現行の「所得税法等の一部を改正する法律」では、土地売買の登録免許税は以下のように定められています。
●土地の売買の登録免許税
平成23年3月31日まで 1%
平成23年4月 1日から 1.3%
なお、この土地売買の登録免許税については、今回の改正案と関係なく、平成23年4月1日から1.3%になることが既に決定されています。(この部分は変更ありません。)
したがって、今後の税額を計算すると以下のようになります。
具体例
住宅ローン4000万円借り入れて担保を付け
評価価格 土地2000万円 建物1000万円 の住宅用の1戸建てを購入する場合の登記にかかる登録免許税
平成23年3月31日まで 土地20万円 建物 3万円 抵当権 4万円 合計27万円
平成23年4月 1日から 土地26万円 建物20万円 抵当権16万円 合計62万円(+35万円)
以前、平成20年3月にも現在と同様の「ねじれ国会」の状況下での予算関連法案の不成立という事態がありましたが、そのときは「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」(いわゆる「つなぎ法案」)が期限切れ前に成立して登録免許税に関する租税特別措置法の適用期限が5月末まで延長され、その後租税特別措置法改正案が衆議院で再可決され、結果的に増税にはなりませんでした。(この時ガソリンについては、適用期限切れで値段が下がり、改正案成立で値段が上がり(元に戻り)ました。)
今回も、「つなぎ法案」の検討に入ったとの報道があります。しかし、今回は、関連法案を衆議院で再可決、成立の見通しがたっておらず、今後どうなるのか不透明な状況です。
今後も状況を注視していきたいと思います。
予算関連法案:不成立なら… 税制改正/子ども手当/特例公債
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110302ddm008010005000c.html
前原事務所 | 東京都中野区中野の司法書士・土地家屋調査士・行政書士
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